2026年4月より、未管理著作物裁定制度が始まります。 これまで権利者の「意思」が不明で諦めていた著作物の利用が可能になります。本記事では、実務上のリスクを回避するためのポイントを詳しく解説します。
1. 未管理著作物裁定制度の概要
新制度は、著作権者の「連絡先はわかるが応答がない」ケースを救済します。従来の制度は「権利者が誰か、どこにいるか不明」な場合が対象でした。それぞれの制度の主な違いは以下の通りです。
裁定制度の比較表
| 項目 | 著作権者不明等の裁定 | 未管理著作物裁定 |
| 対象 | 権利者自体が不明 | 権利者の意思が不明 |
| 窓口 | 文化庁長官 | 登録確認機関(民間) |
| 利用期間 | 上限なし | 最長3年 |
| 取消しの有無 | 原則なし | 権利者が現れれば取消し |
さらに、新制度は手続きが大幅に簡略化されています。したがって、ビジネスのスピード感を損なわずに著作物を利用できます。
2. 未管理著作物裁定制度を利用する際の注意点
未管理著作物裁定制度を利用するためにはいくつか注意点があります。
具体的には、以下の3つのポイントに注意してください。
① 利用期間は「最長3年」の制限
新制度による利用許可は、永遠ではありません。具体的には、1回の裁定で認められる期間は最長3年までです。そのため、3年を超えて利用する場合は、再度申請を行う必要があります。継続的な利用を予定しているプロジェクトでは、更新時期の管理が必須です。
② 権利者の請求による「裁定の取消し」リスク
新制度は、権利者の利益を守るために「取消し」を認めています。もし、後から権利者が現れて取消しを請求した場合、利用を停止しなければなりません。したがって、代替の利かない重要なコンテンツへの利用は慎重に判断すべきです。
③ 著作者人格権(同一性保持権など)の尊重
裁定制度で認められるのは、あくまで「著作権(財産権)」の利用です。
しかし、著作者が持つ「著作者人格権」まで制限されるわけではありません。
具体的には、勝手な改変や、著作者の名誉を傷つける利用は厳禁です。
不適切な利用は、裁定を受けていても不法行為となる恐れがあります。
3. 実務で失敗しないための裁定申請ステップ
新制度の申請は、登録確認機関(CRICなど)に対して行います。具体的な流れは次のとおりです。
ステップ1:データベースによる「探索」
まず、文化庁が指定するデータベース等で権利者の情報を探します。「分野横断権利情報検索システム」での検索が基本となります。ここで利用ルール(無断転載禁止など)が示されていないか確認します 。
ステップ2:権利者への「意思確認措置」
連絡先が判明した場合は、利用を希望する旨を連絡します。具体的には、連絡が到達してから14日間の応答を待ちます。この期間内に返信がないことが、裁定申請の要件となります。
ステップ3:登録確認機関への申請と補償金の支払
要件を満たしたら、登録確認機関へ申請書を提出します。申請手数料は1件につき13,800円です。さらに、裁定が下りた後は、指定された「補償金」を支払います 。
重要ポイント 申請から決定までの標準処理期間は、文化庁作成「裁定の手引き」によると最短で10営業日程度と想定されています。そのため、従来の制度(約2ヶ月)に比べて非常にスピーディです 。
まとめ
未管理著作物裁定制度における注意点をまとめました。新制度はオーファンワークスの新たな活用可能性を生むものです。
ただし、「3年限定」「取消しの可能性」という制約もありますので、この点は注意が必要です。
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