自己破産を検討する際、
「家族に知られてしまうのではないか」
「勤務先にバレて仕事に影響はないのか」
といった不安を抱く方は少なくありません。
本記事では、破産手続きの実務運用を前提に、
- 家族に知られる可能性
- 勤務先に知られる可能性
- 官報掲載との関係
について解説します。
自己破産は家族に知られるのか?
法律上、家族への通知義務はない
破産手続き自体に、裁判所が家族へ通知しなければならないという定めはありません。
そのため、制度上は家族に知られずに申立てを行うこと自体は否定されていません。
ただし、実務上は知られる可能性がある
以下のような理由から、結果的に家族に知られる可能性はあります。
- 裁判所からの郵送物が自宅に届く
- 家計収支や借金の経緯を確認する過程で、
家族から事情を聴取せざるを得ない場合がある
家族の理解を得ることが望ましい
また、申立においては、事実上家族の協力が必要であるケースもあり、文献上も、次のような考え方が示されています。
「たとえば相談者が破産手続開始の申立てを家族に秘匿することを希望している場合には、本人の経済的更生には、家族の協力が不可欠であることを説得し、家族に真実を告げ、その理解を得るよう勧めるべきである」
(東京弁護士会倒産法務部編
『破産申立マニュアル 第2版』41頁/2015年・商事法務)
【結論】家族に知られない可能性はあるが、限界もある
- 家族に知らせたくないという希望がある場合、
弁護士として最大限配慮することは可能です。 - しかし、事案の内容によっては、
家族の協力を得ながら進める必要が生じることも十分考えられます。
自己破産は勤務先に知られるのか?
【事実】原則として勤務先に通知されない
次の場合を除き、勤務先に自己破産が知られる可能性は低いといえます。
- 給与差押えが行われた場合
- 職業制限の対象となる資格・職業に就いている場合
これらに該当しなければ、通常は勤務先へ破産の通知は行われません。
退職金の調査で勤務先と関わることはある
破産申立てでは、破産者の財産状況を裁判所に説明する必要があります。
その中には、将来支給される可能性のある退職金も含まれます。
【実務上の運用】
- 就業規則ないし退職金規定を確認する
- 勤務先に退職金見込額を証明してもらうこともある
勤務先に「破産申立てのため」と伝える必要はない
上記の確認が必要ではありますが、その際も、
- 「破産のためである」
- 「裁判所に提出するためである」
といった立ち入った事情まで説明する必要はありません。
【結論】
自ら破産の事情を伝えない限り、
勤務先に自己破産が知られることは通常ありません。
官報に掲載されると周囲に知られる?
自己破産は官報に掲載される
破産手続を行うと、官報への掲載が行われます。
官報から知られるケースは極めて稀
もっとも、官報は
- 一般の方が日常的に閲覧するものではない
- 検索性も高くない
という性質上、
官報掲載をきっかけに周囲に知られることは、現実的にはほぼありません。
