自己破産で車を残せるかは一律ではありません
自己破産をすると、必ず車を失うと思われがちですが、
実際には ローンの有無・車の価値・裁判所の運用 によって結論は異なります。
ここでは、自己破産手続において車がどのように扱われるのかを、
実務上の基準に基づいて整理します。
ローンが残っている車の場合
原則:車は手元に残せません
車のローンが残っている場合、そのローン債権は破産手続の対象となります。
破産手続では、
- 特定の債権者だけを優先して返済すること(偏頗弁済)は禁止
されています。
そのため、ローンの支払いは停止され、
所有権留保がされているローン会社等から、
車両は引き上げられるのが原則です。
ローン完済済みの車の場合
ローンをすでに完済している車については、
財産価値がいくらかが判断基準になります。
評価額が20万円未満の場合
一般に、評価額が20万円未満の車は
換価対象財産とはみなされず、
破産者の手元に残すことが認められる運用がされています。
長崎地方裁判所の運用
- 新規登録から5年以上経過している車については
原則として 20万円未満と扱う運用がされています。
※これは長崎地裁の実務運用であり、
他の裁判所では異なる場合があります。
高級車等の場合は注意が必要
以下のような車については、
年式にかかわらず査定が必要とされています。
- ハイブリッド車
- 電気自動車(EV)
- 外国製自動車
- 排気量2,500cc超の車両 など
これらに該当する場合は、
実際に査定を行った上で20万円未満かどうかが判断されます。
新規登録から5年以内の車の場合
新規登録から5年以内の車については、
- 査定額が 20万円未満
→ 手元に残せる可能性あり - 査定額が 20万円以上
→ 換価処分(売却)の対象
という扱いになります。
車が20万円以上でも残せる可能性はある?
自由財産拡張申立という制度
特別な事情がある場合には、
自由財産拡張申立という手続により、
車を処分せずに残せるかを検討します。
想定される事情(例)
- 自営業で、車が業務に不可欠
- 障害・疾病があり、通院に車が必要
- 公共交通機関の利用が事実上困難
※必ず認められるわけではなく、
個別事情を踏まえた裁判所の判断になります。
通院のために車を残したケース
過去に取り扱った事案では、
- 継続的な通院が必要
- 自宅から病院まで公共交通機関での通院が事実上困難
という事情があり、
自由財産拡張申立が認められ、車両を処分せずに破産手続を進めたケースがあります。
👉 個別事案の結果であり、同様の事情があれば必ず認められると断定することはできません。
まとめ|自己破産と車の扱い【整理】
- ローン残あり → 原則として車は残せない
- ローン完済+20万円未満 → 残せる可能性が高い
- ローン完済+20万円以上 → 原則は処分対象
※特別事情があれば自由財産拡張を検討
車を残せるかどうかは、
年式・車種・裁判所の運用・生活状況によって結論が変わります。
