破産してもスマホは残せるのか？

　機種代の分割を支払い済みで、単に毎月の通信料だけがかかっているというスマホであれば、端末自体の価値は小さいため、特に裁判所から指摘受けることなく、破産者の手元に残せることが多いでしょう。
　主要な携帯会社の約款では、ローンの有無とは関係なく、引き渡しのタイミングで端末の所有権が移転するとうたわれており、所有者は破産者に移っていますので、携帯会社から端末を引き上げられるということにもなりません。
　ただし、端末について機種代金の分割支払いが残っている場合は、事情が異なります。この場合、携帯会社が破産債権者となりますので、この分割支払いについては、破産手続き内で処理することとなります。
　そうすると、破産法上、ほかの債権者に優先して携帯会社にだけ弁済を行うことは禁止されるため、その結果、支払いができずに不払いを理由に携帯電話の契約は解除されることとなります。
　この点、通信料と端末代金を区別して、通信料だけ支払い続けることができれば、通信契約を残すことも理論的には可能なように思えるのですが、実際に、携帯会社がそのような方法による支払いを受け入れてくれたという話は聞きません。
　結論としては、機種代の分割が残っている携帯は、破産手続きにより、携帯は使えなくなると考えておいた方がよいです。
　よくある処理としては、機種代残額を親族等に支払ってもらい、親族等から破産者に対する求償権は放棄してもらいます。
　管財人をしていると、申立て時に機種代分割払いを見逃しているケースにも遭遇します。このとき、頼る親族等もおらず、破産手続開始決定後の新得財産から支払う余裕もないということであれば、既存の携帯は諦めて、新たに新機種を格安で購入し再契約するしかありません。申立て前に十分注意して確認しておく必要があります。