破産直前にやってはいけないこと

「もう返せない、破産するしかない……」 そう決心したとき、多くの人は「せめて家族にだけは迷惑をかけたくない」「少しでも手元にお金を残したい」という思いから、破産法上不適切な行動に出てしまいがちです。

しかし、良かれと思って行ったその行動が、自己破産(免責)上は問題行為であるという可能性があります。

破産手続には「公平性」と「透明性」という大原則があります 。このルールを無視すると、最悪の場合、裁判所から借金の免除(免責)が認められなくなってしまいます

今回は、破産を検討している方が「直前に行ってはいけないNG行為」について、専門用語を噛み砕いて解説します。


なぜ「やってはいけないこと」があるのか?

破産は、単に借金を消すための魔法ではありません。 法律(破産法)の目的は、限られた財産を債権者全員で「公平」に分け合い、債務者の「経済的な再起」を助けることにあります

そのため、特定の誰かだけを優先したり、財産を隠したりする行為は、ルール違反の行為とみなされるのです 。


破産直前に行ってはいけない5つのNG行為

1. 特定の相手にだけ返済する(偏頗弁済)多くみられるNG行為が、この「偏頗弁済(へんぱべんさい)」です。

偏頗弁済とは: 支払いができない状態なのに、友人や親族、あるいは特定の取引先にだけ、優先的にお金を返すこと。

「お世話になった人にだけは返したい」という気持ちはわかりますが、これは他の債権者にとって不公平な行為です 。 これを行うと、破産管財人がそのお金を取り戻す「否認権(ひにんけん)」を行使し、返してもらった相手(親戚など)が裁判で返金を求められるという、もっとも避けたい事態を招く恐れがあります 。

2. 財産を隠す・名前を変える(財産隠匿)

「家や車を没収されたくない」と考え、名義を家族に変えたり、現金や貴金属をどこかに隠したりする行為です。

これは「財産隠匿(ざいさんいんとく)」と呼ばれ、免責が認められなくなる(免責不許可事由)の筆頭候補です 。また、悪質な場合は「詐欺破産罪」という犯罪として処罰の対象にもなり得ます(破産法265条)。

3. 新たに借入れをする・クレジットカードを使う

「もうすぐ破産するから、最後に限度額まで使っておこう」といった行為は、最初から返すつもりがないのに借りる「欺罔(ぎもう)的な借入れ」と判断される可能性があります。

破産直前のキャッシングやショッピング利用は、破産管財人の調査によって必ず判明すると言ってよいです 。詐欺的な行為とみなされれば、免責不許可となりかねません。

4. ギャンブルや浪費で借金を増やす

パチンコ、競馬、あるいは身の丈に合わないブランド品の購入や過度な飲食などは、破産法で明確に禁止されているNG行為(免責不許可事由)です

すでに支払不能な状態なのに、さらに資産を減らして借金を増やす行為は、反省の色がないと判断され、免責のハードルが高くなる可能性もあります 。

5. 弁護士や裁判所に嘘をつく「説明義務」があります 。

  • 「他に口座はない」と言っていたのに、隠し口座が見つかった
  • 「もう仕事はしていない」と言ったのに、実は収入があった

こうした嘘は、申立人代理人との関係では、信頼関係を破壊しますし。破産法上も、免責不許可の大きな要因になります 。


NG行為をしてしまった場合に起こること

もし、あなたが上記の行為をしてしまった場合、以下のような厳しい結果となる可能性があります。

  • 借金がゼロにならない(免責不許可): 手続きにかかった費用と時間は無駄になり、借金はそのまま残ります 。
  • 家族や友人が巻き込まれる: もしも破産管財人により否認権が行使されれば、返したお金や譲った財産を強引に回収されることとなり、第三者に迷惑をかけてしまいます 。
  • 手続きが長引き費用が増える: 本来であれば「同時廃止」という安価で簡便な手続きで終わるはずが、十分な調査が必要な「管財事件」と判断され、裁判所への予納金(20万円〜)が必要になります 。

まとめ:正しく手続きを踏むことが、最短の解決策です

破産直前の不安な時期、一時の感情で動いてしまうのはとても危険です。 すでに弁護士に依頼している場合は、「受任通知」を送った時点ですべての返済をストップしなければなりません 。独断での返済は絶対に控えましょう。

弁護士への無料相談をご検討ください

「すでにNG行為をしてしまったかもしれない……」 「家族に迷惑をかけずに破産する方法を知りたい」

そのような悩みをお持ちの方は、今すぐ当事務所へご相談ください。 たとえ過去に不適切な行為があったとしても、早い段階で正直に話し、適切な対策を立てることで「裁量免責(裁判所の判断による救済)」が得られる可能性も残されています 。

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