自己破産というと、「財産はすべて処分される」「何も残らない」といったイメージを持たれがちです。
しかし、日本の破産法は、そのような制度ではありません。
自己破産における自由財産の考え方はこちら。
このような自由財産は、その範囲を拡張することができます。
自由財産拡張とは、本来は破産財団に組み入れられるはずの財産について、
裁判所の判断により、例外的に破産者の手元に残すことを認める制度です。
この制度は、破産者が破産後に生活を立て直すことを現実的に可能にするための、重要な調整規定として位置づけられています。
自由財産拡張の法律上の根拠
自由財産拡張は、破産法34条4項を根拠とする制度です。
この条文では、
- 破産財団に属する財産であっても
- 破産者の生活状況や個別事情を考慮し
- 裁判所が相当と認める場合には
自由財産として扱うことができるという考え方が示されています。
なぜ自由財産拡張という制度があるのか
破産手続には、大きく分けて次の二つの目的があります。
- 債権者に対して公平に配当すること
- 破産者の経済的再生を可能にすること
もし、生活費や就労に必要な資金まで一切残せないとすれば、
破産後の生活が成り立たず、結果として社会復帰も困難になります。
自由財産拡張は、再出発の保障という目的を具体化した制度といえます。
自由財産と自由財産拡張の違い
自由財産(原則)
法律上、最初から破産財団に含まれない財産です。
- 99万円以下の現金
- 生活に通常必要な衣類・家具・家電
- 差押禁止財産(年金受給権など)
これらは、裁判所の判断を待たず、当然に手元に残ります。
自由財産拡張(例外)
本来は破産財団に属する財産について、
裁判所の判断により、例外的に残すことが認められるものです。
もっとも、自動的に認められる制度ではなく、実務上は自由財産拡張の申立が必要です。
裁判所は何を基準に判断するのか
自由財産拡張は、裁判所の裁量判断によります。
もっとも、裁量といっても恣意的に決められるわけではなく、
破産管財人からの意見も踏まえて、次のような事情を総合的に考慮して判断されます。
- 破産者の生活状況・収入・家族構成
- 当該財産が生活維持に必要かどうか
- 換価した場合、債権者配当にどの程度寄与するか
- 他の破産事件との公平性
換価しても配当がほとんど見込めない財産については、
生活再建を優先して検討される傾向がありますが、
あくまで個別事情による判断となります。
申立てと説明が重要な理由
自由財産拡張は、申立てをしなければ当然に認められるものではありません。
その財産について、
- なぜ生活に必要なのか
- 失うとどのような支障が生じるのか
を、申立書や事情説明書で具体的に説明する必要があります。
説明が不十分あるいは、そもそも自由財産拡張の申立をしない場合は、本来検討の余地がある財産であっても、破産財団に組み入れられてしまう可能性があります。
自由財産拡張の位置づけまとめ
自由財産拡張は、破産制度の中では例外的な制度です。
しかし、破産後の生活の現実性や再出発の可否に直結するため、
実務上は非常に重要な意味を持ちます。
自己破産を検討する際には、
「どの財産が自由財産か」だけでなく、
「自由財産拡張が問題になるか」という視点を持つことが重要です。
